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北海道のニジマスが話題になっている件_2

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先日の生物多様性条例の件、もう少し書き足しておきます。
あれから、もう少し調べたり、人のお話を聞いてみたりしたんですよ。北海道の釣り人として、この件を正確に発信したいという気持ちです。
解決の糸口を探るには、物事を正しく理解することが前提になりますよね。

【北海道の取り組みの様子を調べて思ったこと】
 北海道では、昨年制定された「北海道生物の多様性の保全等に関する条例」に基づく「北海道外来種対策基本方針」を策定するため、1月から2月にかけて基本方針素案のパブコメを行っていました。これを受けて、道では、平成25年度中に基本方針を決め、平成26年度から「指定外来種」の指定を順次行う予定としてる様子です。
 指定外来種の指定にあたっては、北海道のブルーリストと国の侵略的外来種リストを参考にすることとしており、ニジマスについては、2010年に公表された北海道ブルーリストで、すでにA2ランクに指定されているという状況は先日も書いたところです。
 道の担当者としては、すでに導入されてしまった外来種の指定がどこまでできるか難しいと考えているということと、今後導入された場合に影響が大きいものを指定し、その影響を未然に防ぐという考え方もある様子で、担当者がお仕事として考えるべきこととしては真っ当ですよね。
 行政というのは、過去に決定したことを撤回することには消極的です。間違いを認めたくないということよりも、信頼性が揺らぐ、撤回による不利益をこうむった人への救済の困難性を考えてのことです。しかし、道庁は「時のアセスメント」という再評価制度を制定したこともあるように、古く時代遅れになった判断についてはその変化を認めて対応をしていこうという、柔軟性のある自治体の一つです。
 今回のニジマスに関しては、こうした道の姿勢が釣り人にとって「望ましくない方向」に進む可能性があると、私は思っていたりもします。

【道庁に直接聞いてみた】
 川に関する行政が、利権(=「政治的・経済的要因」と言い換えられるところですが)から多くの部署に振り分けられていることは前回書いたところです。
 道には具体的に2つの部署が絡むところなのですが、その2ヶ所から回答をいただきました。部署名や担当者名は書きませんが、原文掲載の許可を得ましたので貼ってみます。

(水産林務部関係)
 外来魚につきましては、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(以下外来生物法)」においてオオクチバス、コクチバス、ブルーギルなどの13種類の魚類が特定外来生物に指定されて運搬や飼養等が規制されております。
 道においては、水産資源・生態系保全の観点から、ブラウントラウト、カムルチー、カワマスの3魚種について、「北海道内水面漁業調整規則」で移植禁止を定め、拡散防止に努めております。
おたずねのニジマスにつきましては上記の外来生物法や北海道内水面漁業調整規則での規制の対象とはなっていません。
 また、北海道水産林務部におきましては、現在、ニジマス放流の禁止のために同規則を改正するという手続きや、パブリックコメント等の意見集約は行っておりません。
 このたびはニジマスに関しましてのご意見をいただきましてありがとうございます。
 これからも北海道の遊漁・内水面に関して、ご意見をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

(環境生活部関係)
 北海道生物の多様性の保全等に関する条例(以下、条例)第32条では「知事は、外来種のうち、道内又は道内の特定の地域における生物の多様性に著しい影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるものを、指定外来種として指定することができる。」としています。この指定外来種に指定されますと、条例第35条の規定により、その個体を本来の生息地以外へ放つことが禁止されます。
 また、条例第31条では、外来種による生物の多様性への影響を防止するための基本方針を定め、指定外来種の指定や防除に関する基本的な事項について定めるものとしており、道では、この度、「北海道外来種対策基本方針」(素案)に対する道民意見の募集(パブリックコメント)を行いました。
 この「北海道外来種対策基本方針」は、平成26年度内の策定を目指しています。指定外来種の候補となる種の選考については、この基本方針に基づき、平成26年度から検討を開始する予定ですので、現時点では、候補についてはニジマスを含め、白紙です。
 「北海道外来種対策基本方針」(素案)に対する道民意見の募集(パブリックコメント)の結果については、本年3月中を目途に公表する予定です。
  パブリックコメントや条例の詳細については、道の下記ウェブページをご参照ください。

 『参考ウェブページ』
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/gairai-kihonhoushin.htm

 丁寧にご回答をいただきました。イマドキのお役所というのはアカウンタビリティをきちんと果たす組織なんですよ。
 この回答を見て思うのは、やはり今回の件について関連部署間の連携・調整はないということです。互いに影響はあるはずですが・・・。
 また、注目すべき点は、環境生活部関係の方が「現時点では、候補についてはニジマスを含め、白紙です」としているところです。私たちがニジマスに関して意見を述べることは無駄にならないと感じます。
 諦めずに、前を向きましょう!

 ところで、ブラウントラウトはみんなスルーでOKなんでしょうかね?A1ランクですから、ブルーギル並みの扱いなんですが・・・。
 北海道でシートラウトとか釣ってみたいけどなぁ。


 味方が少ないってのは大変ですよ。メガネ君にはよくわかります(遠い目
 
 
Commented by たろちゃん at 2014-04-03 22:07 x
パブコメの結果が気になりますね。基本方針についても未だ調整中ってとこですか。基本方針が本来の生態系を取り戻す云々が判断基準ならばニジマスはアウトですよね。また鮭への被害がどうこうとか在来魚種や生態系への影響がどうこうならばその判断は持ち越しされそうな気がします。釣り業界や観光の経済効果も考慮されるなら虹鱒は守られそうですが。
Commented by megane9n at 2014-04-05 16:23
生物多様性条例を担当している人の判断基準は、「今いる在来種を、次の世代にも残すことができるように、できるだけ環境に負荷をかけないようにすること」という感じみたいです。純文学的といいますか。
関連部署の連携が無い状況では、ここに「経済的、政治的な問題への配慮」が不可欠ですので、思い切った制度設計は結構難しいハズです。
パブコメに注目ですね。

by megane9n | 2014-04-02 21:10 | 雑記 | Trackback | Comments(2)

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